共同生活の秩序を乱す行為には、法律が段階的な対抗手段を用意しています。
ずっと騒音を出す人がいたら、いきなり出て行ってもらえるのぉ?
いきなりは無理なの。
まず軽い手段から段階を踏むのよ。
最初は行為の停止請求ね。
行為停止の訴えを起こすには集会の普通決議が必要で、これは各4分の3までは要らないのですよね。
そう、そこが要注意。
次の段階から重くなるの。専有部分の使用禁止請求、区分所有権の競売請求、占有者への引渡し請求は、出席者の各4分の3以上の決議と訴えが必要よ。
区分所有者と議決権の各過半数が出席していることも条件ね。
だんだん厳しくなる階段みたいだね。
最終手段の競売はさすがに重いんだ。
そのとおり。
影響が大きいほど重い要件、と理解しておくといいわ。
確認クイズ
義務違反者に対する措置について正しいものはどれか。
- 専有部分の使用禁止請求の訴え提起には、出席者の各4分の3以上の決議が必要である
- 行為の停止請求の訴え提起にも、出席者の各4分の3以上の決議が必要である
- 競売請求は集会決議なしに管理者が単独でできる
- 引渡し請求は普通決議で足りる
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正解: 1. 専有部分の使用禁止請求の訴え提起には、出席者の各4分の3以上の決議が必要である
正解は1。使用禁止・競売・引渡しの各請求の訴え提起には、集会に出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上の決議が必要です(58条〜60条)。行為の停止請求の訴えは普通決議で足り、競売や引渡しに普通決議・単独提起は認められません。
2026年4月の改正で加わった決まり:裁判所が管理人を選ぶ3つの制度
持ち主が分からない部屋や、放置されて危ない部屋・共用部分について、裁判所が管理人を選んで管理させる制度ができました。
持ち主がどこのだれか分からなくて、荒れほうだいの部屋があったら、だれにも手が出せないの?
2026年4月施行の改正で、マンション向けの財産管理制度ができたの。
まず所有者不明専有部分管理命令。
持ち主やその居場所が分からない専有部分について、利害関係人の請求で、裁判所が管理人を選ぶのよ。
その管理人は、専有部分を売ることもできるのですか。
裁判所の許可を得ればできるわ。
保存行為と、性質を変えない範囲の利用・改良を超える行為には、裁判所の許可が要るの。
管理や処分の権限は、この管理人に専属するのよ。
持ち主はいるのに、ゴミをためたままにしているお部屋はどうなるのぉ?
それには管理不全専有部分管理命令があるわ。
管理が不適当なために、他人の権利が侵害されるおそれがあるときに使えるの。
ただし、専有部分を処分するには、裁判所の許可に加えて、その区分所有者の同意が要るわ。
外壁がはがれ落ちそうな場合など、共用部分にも同じような制度がありますか。
あるわ。
管理不全共用部分管理命令よ。
3つとも、利害関係人が裁判所に請求して、裁判所が管理人を選ぶ、という形は共通しているの。
確認クイズ
2026年4月施行の改正区分所有法の財産管理制度に関する記述として正しいものはどれか。
- 所有者不明専有部分管理命令は、集会の特別決議があれば、裁判所の関与なしに管理者がすることができる
- 管理不全専有部分管理人は、区分所有者の同意がなくても、裁判所の許可だけで専有部分を売却できる
- 所有者不明専有部分管理命令は、利害関係人の請求により、裁判所がする
- 管理不全専有部分管理人は、集会で議決権を行使することができる
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正解: 3. 所有者不明専有部分管理命令は、利害関係人の請求により、裁判所がする
正解は3。所有者不明専有部分管理命令は、利害関係人の請求により裁判所がします(46条の2)。1は裁判所の処分なので誤り。2は、管理不全専有部分の処分には、裁判所の許可に加えて区分所有者の同意が必要なので誤り(46条の9)。4は、管理不全専有部分管理人は集会で議決権を行使できないので誤りです(46条の9)。