老朽化したマンションの建替えは、区分所有法でもっとも重い決議が求められます。
建替えって、規約変更と同じ4分の3でいいんだよね?
そこが最頻出の落とし穴。建替え決議は、原則として各5分の4以上とさらに重いのよ。
しかも母数は出席者ではなく、区分所有者の全員なの。
2026年4月施行の改正で、要件が軽くなる場合ができたと聞きました。
そうなの。
耐震性の不足、火災に対する安全性の不足、外壁などがはがれ落ちて周りに危害が及ぶおそれ、給排水管などの腐食で著しく衛生上有害となるおそれ、バリアフリー基準への不適合。
このどれかに当たる建物は、各4分の3以上で建替え決議ができるわ。
62条2項よ。
決議の重さに合わせて、招集手続も通常より厳格になりますよね。
そう。
建替え決議の招集通知は、会日の少なくとも2か月前までに発するの。
会日の1か月前までには説明会も開かれるわ。
反対した人は、そのまま住み続けられるのぉ?
そこで売渡し請求が使われるの。
参加者が、不参加者に時価での売渡しを請求できるのよ。
確認クイズ
建替え決議に必要な決議要件として、原則として正しいものはどれか。
- 区分所有者及び議決権の各5分の4以上
- 集会に出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上
- 集会に出席した区分所有者及びその議決権の各3分の2以上
- 集会に出席した区分所有者及びその議決権の各過半数
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正解: 1. 区分所有者及び議決権の各5分の4以上
正解は1。建替え決議は、区分所有者の全員を母数に、原則として各5分の4以上が必要です(62条1項)。耐震性の不足など一定の事由に当たる建物は各4分の3以上に下がりますが(62条2項)、その場合も母数は区分所有者の全員です。出席者の各4分の3以上は規約変更などの特別決議、出席者の各3分の2以上は大規模滅失の復旧、出席者の各過半数は普通決議です。
2026年4月の改正で加わった決まり:建替え以外の再生と、賃貸借の終了
建て替えるほかにも、建物を生まれ変わらせたり、区分所有の関係を終わらせたりする方法が、多数決でとれるようになりました。
建て替えるお金が足りないマンションは、どうすればいいのぉ?
2026年4月施行の改正で、建替え以外の道が増えたの。
まず、骨組みを残して建物全体をつくり直す建物更新決議。
いわゆる一棟リノベーションね。
売却する方法もできたのですよね。
そう。
建物と敷地をまとめて売る建物敷地売却決議、建物を取り壊してから敷地を売る建物取壊し敷地売却決議、建物を取り壊すだけの取壊し決議の3つよ。
要件は建替えと同じなの?
同じよ。
どれも原則は各5分の4以上で、耐震性の不足などの事由に当たれば各4分の3以上。
敷地を売る2つの決議は、区分所有者と議決権に加えて、敷地利用権の持分の価格でも同じ割合が要るわ。
部屋を借りている人がいる場合は、どうなりますか。
建替え決議などがあったときは、賃貸借の終了請求ができるようになったの。
請求の日から6か月がたつと賃貸借は終わり、借りている人は補償金を受け取れるわ。
補償金の提供を受けるまでは、明渡しを拒めるのよ。
確認クイズ
2026年4月施行の改正区分所有法で新たにできた決議に関する記述として正しいものはどれか。
- 建物敷地売却決議は、区分所有者全員の同意がなければできない
- 建物更新決議(一棟リノベーション)は、原則として区分所有者及び議決権の各5分の4以上で行う
- 取壊し決議は、集会に出席した区分所有者及びその議決権の各過半数で行える
- 建替え決議があっても、専有部分の賃貸借を終わらせる請求は一切できない
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正解: 2. 建物更新決議(一棟リノベーション)は、原則として区分所有者及び議決権の各5分の4以上で行う
正解は2。建物更新決議は、建替え決議と同じく原則各5分の4以上です(64条の5)。1の建物敷地売却決議は、原則として区分所有者・議決権・敷地利用権の持分の価格の各5分の4以上でできます(64条の6)。3の取壊し決議も原則各5分の4以上です(64条の8)。4は、建替え決議などがあると賃貸借の終了を請求でき、請求の日から6か月で終了します(64条の2)。